第1回 「小学校での歴史学習への活用」
柴田 隆史 先生

東京福祉大学 教育学部 准教授
日本学術振興会特別研究員PD、カリフォルニア大学バークレー校ポスドクなどを経て、現在に至る。博士(国際情報通信学)。人間工学の視点から、立体映像が人に与える影響や3Dコンテンツの活用に関する研究に取り組んでいる。

3D教材を使った小学校での授業

小学校6年生の歴史学習で、3D教材を使った実践が行われています。古墳時代の文化や技術が反映された埴輪(はにわ)や土器、古墳の様子などを詳しく観察するのに、3Dが役立っています。3Dを使うことで、従来の写真や資料では着目されにくかった部分にも気づくことができ、児童の学習内容の理解を深めることがねらいです(図1)。
例えば、実際の古墳に復元された埴輪(図2)を観察していたときのことです。同じコンテンツを2Dで見たときには分からなかったのに、3Dで見たことで古墳の盛り上がった様子に気づいた児童がいました。それに対して、授業を行った佐藤和紀先生(東京都北区立豊川小学校・主任教諭)は、「埴輪が置かれている場所にも注目して、なぜ、このような形の埴輪が作られたのか考えてみましょう。」と教えていました(図3)。それらの埴輪は、古墳の墳丘に並べられています。3Dの活用により、社会科見学で実際の風景や実物を見るのに近い効果が期待できます。
最近は、3Dを撮影したり、編集したり、表示することが簡単にできるようになってきています。少し前までは3Dは“見るメディア”でしたが、これからは、“使うメディア”となります。3Dの両眼視差による奥行き手がかりを活用することで、新たな教育効果をもたらすのではないかと期待されます。


図1 3D教材で学んでいる児童

図2 墳丘に復元された埴輪(群馬県前橋市)

図3 3Dを使った授業をする先生と児童