3Dのディスプレイ
映画やテレビで用いられている3Dのディスプレイの原理は、19世紀前半に遡ります。両眼立体視の概念を発見したイギリスの物理学者、チャールズ・ホイートストンの研究に用いられたステレオスコープが、世界初の3Dディスプレイとされています。
ステレオスコープの原理は、両眼視差を含んだ視覚情報を、左右眼に分割して呈示するという点で、現在の3Dディスプレイと共通しています。なお、現在も3Dのディスプレイに方式の複数が混在しているのは、それぞれの間でトレードオフが存在するためです。

図 ホイートストンのステレオスコープ
3Dディスプレイの分類
3Dディスプレイの方式は、観察に必要となるヒトの行為からみると、大別が容易となります。ここでは、大きく、スコープ式、メガネ式、裸眼式に分類しています。
スコープ式では、ディスプレイをのぞき込む、あるいは頭部に装着します。
映画やテレビでは、メガネ式が主流です。メガネ式は、アクティブとパッシブに分類される場合もあります。
裸眼式では、観察する位置や距離が制限される半面、メガネなどの装着が不要となります。
【アクティブ】
プロジェクタやテレビからの信号を受信して動作する液晶シャッタのついたメガネをアクティブと呼称します。
左右の映像が高速に切り替わるタイミングに同期して、左右のシャッタが開閉するので、映像が分割・呈示されます。
眼前で連続的にシャッタが開閉しますが、通常、1秒間に120回以上の周期で動作させることで、チラツキを低減しています。

【パッシブ】
一般に、左右で直交あるいは回転方向の異なる偏光フィルタのついたメガネをパッシブと呼称します。メガネと対応したフィルタを通して呈示されるので、左右の映像が分割されます。
映画館では、偏光を維持するシルバースクリーンを使用することで、この効果を実現しています。一方、家庭用のテレビでは、画面に貼り付けられた特殊な素材によって、解像度は低下しますが同様の効果を生み出しています。

表 3Dディスプレイの分類