3D視聴の健康面への影響に関する最近の見解について
「なるほど!3D」では、これまで教育分野を中心とした3D視聴の利活用と最適化に関する情報を紹介してきました。ここでは、3D視聴の健康面に関する最近の見解として、米国オプトメトリック協会(American Optometric Association:AOA)による声明(Statement)を紹介します。

AOAは、オプトメトリー(Optometry)の専門家により、眼と視覚に関するヘルスケアの向上を目指しています[1]。日本ではオプトメトリーという言葉にあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカでは100年以上の歴史があります。オプトメトリスト(Doctors of Optometry)は、眼科医と違って手術は行いませんが、眼疾患の検診やメガネの処方、視機能訓練などを行い、快適にものを見られるように眼のケアをします。

AOAは、2015年7月10日に「3D視聴における健康面に関する声明」を発表しました。そこでは、3D映像を見ることが眼や視覚に有害であるというエビデンスはないということが述べられています。また、2歳までには3D映像を快適に見られるようになることを述べた上で、2歳以上の人が3D映像を見ているときに、映像がぼやけたり、二重に見えたり、適切に3D効果が得られないなどといった不快感を覚えた場合には、早期に専門家へ相談することを推奨しています。

上記の声明と同じような内容は、2011年9月20日にAOAが発表した3Dの教育利用に関する「3D in the Classroom: See Well, Learn Well」というレポートでも述べられています[2]。3Dは教育を支援するだけなく、3Dを使った学習が自分の眼の状態を知るきっかけになることもあります。3Dを見ているときに常に不快感があるようであれば、眼科医などの専門家に相談することも考慮すべきかもしれません。なお、子どもの3D視聴に関しては、なるほど! 3D「保護者の方へ」のコーナーで紹介していますので、併せてご覧下さい[3]。

米国ではこうした声明やレポートが公表されており、3Dの活用に前向きな姿勢が伺えます。3Dは、映画やゲームだけでなく、今後はバーチャルリアリティ(Virtual Reality:VR)でも広く活用が期待されていることから、安全性と快適性を両立するための共通理解が重要だと考えられます。

【関連サイト】
[1] 米国オプトメトリック協会, http://www.aoa.org/
[2] 3D Vision & Eye Health, http://www.3deyehealth.org/
[3] なるほど! 3D「保護者の方へ」, http://www.naruhodo3d.jp/c_page02.html